11/30(木) 7:00配信

NEWSポストセブンから

中国人「不法残留者」の4割が実習生
日本に“出稼ぎ”に来る技能実習生の失踪が年々増えている。技能実習生とは、日本国内で一定期間働き、産業上の技能等の習得を目指す「外国人技能実習制度」を利用して日本を訪れた外国人労働者をこう呼ぶ。これまで最長3年だった期間が、2016年の法改正で2年延長できるようになった。
失踪すると強制帰国となるか不法滞在者となるが、彼らの“合法的”逃げ道の一つと考えられるのが「難民申請」だ。申請すれば「特定活動」という滞在資格を得て、申請6か月後から就労が可能となる。しかも申請回数に制限がないため、却下されても申請し続ければ「特定活動」資格を維持できるのだ。日本に滞在する中国人の動向に詳しい元警視庁北京語通訳捜査官の坂東忠信氏が解説する。
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毎年、約8万人の技能実習生(以下、実習生)が中国や東南アジアから日本にやってくるが、2015年には5803人が失踪、過去最多を記録した。その多くを占めるのが中国人だ(3116人)。2016年の難民申請者数1万901人のうち、中国人は156人と少ないが、今後の動向を注視する必要があろう。
難民申請という抜け道を使うのはまだ一部だ。失踪した中国人実習生らの大部分が、不法滞在者として就労し続ける。2017年1月1日時点の中国人の不法残留者数(8846人)の在留資格別内訳(どのような資格で日本に在留していたかの内訳)を見ると、技能実習が3406人と最も多く、短期滞在が1983人、留学が1318人と続いている。
そうした不法滞在者の潜伏先として考えられるのが埼玉や千葉などの大都市近郊だ。彼らの行先は都会から郊外に移っている。郊外は人口密度が低く、警官の数も少ない。警官に出くわす可能性が低くなれば、職務質問を受けて旅券を提示させられる機会も減り、捕まりにくい。
かつて不法滞在者は、大都会の人混みに紛れるように暮らすのが普通だった。だが、石原慎太郎都知事(当時)が2003年に打ち出した「浄化作戦」によって状況は一変。新宿、渋谷、池袋、六本木などで不法滞在外国人の摘発が積極的に行われた結果、彼らは大都市近郊に拡散していった。10年以上経ち、そうした地域にはすでに外国人コミュニティができあがっている。
失踪外国人は、不法滞在者がすでに生活基盤を築いたこれらの地域に赴き、同胞のよしみで住居や仕事を得ているのだろう。
今後、地方でこうしたコミュニティが拡大していくと、治外法権エリアが生まれることが懸念される。今でも池袋駅北口の新中華街では不法滞在者が多く生活しているといわれている。かつて私が現役の警察官だったころは新中華街を歩きながら北京語で実態把握に努めたが、今も日本語を話せない店員が多く、警察が犯罪の端緒をつかむのさえ困難だ。
不法滞在者を主な客としている飲食店などでは何か問題が起こっても110番通報せず同国人暴力組織で解決する。以前は日本の暴力団の世話になっていたようだが、暴対法をきっかけに暴力団から介入を断られるケースも出てきた。そのため、警察が暴力団から情報を収集することもままならない。警察は、そうした店に足を踏み入れることさえ困難になりつつある。
偽装難民や不法滞在によって政府が意図しない“移民”が急増し、日本に根を張る。そうして警察が介入できない治外法権エリアが面として広がれば、そこで起こるさまざまな犯罪やトラブルは周辺にも大きく影響するだろう。地域全体として治安が悪化するのは明らかだ。そのツケを払うのは、我々日本国民である。
【PROFILE】坂東忠信●1967年生まれ。1986年、警視庁入庁。機動隊員、刑事などとして勤務。警視庁本部では主に北京語通訳捜査官を務め、中国人犯罪の捜査活動に多く従事。『寄生難民』『在日特権と犯罪』(いずれも青林堂刊)ほか著書多数。